海外の決済アプリからインバウンド客を呼び込む方法とは?
※本記事は2021年に書かれたものです。
※2024年7月一部追記
コロナ禍の今こそ、インバウンド対策が重要な理由とは?
国が非常に積極的である
観光庁が2021年7月に行った長官会見や公表している資料を見てみると、日本政府の方針として「段階的にではあるが、本格的なインバウンド回復に向けた取り組みを促進していく」というものがあります。
具体的な取り組みとしては、「ビジネストラック※に準じた防疫措置を徹底した形で、小規模のパッケージツアーを試行的に実施」や、「コロナ禍での需要変化に対応したプロモーションの実施」等が挙げられています。
特に、オフラインでの説明会や現地でのプロモーションが困難な現状では、デジタルコンテンツを活用した認知獲得が重要になってきます。
海外の旅行者から期待されている
公益財団法人日本交通社が発表した「2021年6月までのレジャー全般の実施意向」によると、「新型コロナ収束後の海外観光旅行で行きたい地域」において、アジア/欧州・米国・豪州でそれぞれ日本が第1位に選ばれています。
特にアジア圏では、2位以下に大きく差をつけてトップにランクインしています。
元々アジア圏、特に中国本土において日本は旅行先としての人気が非常に高かったのですが(2019年春節旅行先で、日本はタイに次いで2位にランクイン)、コロナを経た今もその人気が維持されているという嬉しい事実です。
「外国人観光客が来てから準備」では遅い
このように、国内外ともに「インバウンドの回復」へのポジティブな期待と取り組みが存在している中で、国内のワクチン接種率もどんどん上がってきています。加えて、世界中でワクチン接種後の感染率や症状の有無についてのエビデンスが取得されています。果たしてワクチン接種後に気兼ねなく海外旅行していいのかについては、多くの国と地域で意見が分かれるところだとは思いますが、それでも少しづつ元の生活に近い日々を取り戻そうと、各所が努力を続けています。
カギとなる「ワクチンパスポート」の運用も、既に35以上の国と地域で使用が認められています。日本でも、2021年9月27日より申請条件が撤廃されたため、世界のどこの国であってもワクチンパスポートが利用可能なら渡航ができる状態となっています。
だからといって今すぐ日本が「ワクチンパスポート」以外の入国条件を撤廃するわけではありませんが、観光目的での往来再開へ着実に近づいている印象です。
インバウンド回復に向けて世の中が上向きとなっている今を「準備期間」と捉えることで、いざ本格的にインバウンド客が日本へ渡航してきた際、彼らのニーズを取りこぼすことなく、万全の状態で旅マエ・旅ナカ・旅アトのサポートを行えます。そしてより良い旅行体験を提供することができれば、リピート利用にもつながってゆきます。
どうして海外の決済アプリから集客できる?
日常的に使っているアプリだから
訪日インバウンド客が日本で利用するアプリは、大抵「自国でも頻繁に利用しているアプリ」です。毎日のように使っているアプリであれば、当然中にあるコンテンツを目にする機会も多くなります。
特に分かりやすいのが、GPSを利用した位置情報から最適な店舗をおススメするサービスです。日本の決済アプリにも標準搭載されているので、使ったことのある方ならすぐにピンとくると思いますが、海外にも加盟店が存在している決済アプリの多くで、海外にいても同じように「近くの○○Payが使えるお店」がユーザーに向けて表示されます。
ガイドブックにお店が載っていなくても、決済アプリのユーザーに対して存在をアピールできるのです。
店舗と合同でキャンペーンを開催しているから
これも日本の決済アプリを想像してもらうのが一番わかりやすいのですが、コロナ禍になる前は多くの海外決済アプリが、海外旅行ユーザーに向けて国・地域限定の割引クーポンを配布したり、キャッシュバックのキャンペーンを行ったりしていました。海外のお店であっても利用先に変わりはありませんから、より活発に利用してもらえるよう決済アプリの提携元が様々な工夫をこらしていたのです。
現在は当然、そのようなキャンペーンは行われていません。しかし、今後インバウンドの往来が復活した際は、再び各決済アプリが集客キャンペーンを行うと見ていいでしょう。
店舗向けに集客サービスを用意しているアプリがあるから
数ある決済アプリの中でも、先駆けといえる中国の「Alipay」には、集客サービスの「Disover(現地名:口碑/koubei)」があります。Alipayアプリ内からお店を検索してクーポンを三色できるサービスで、飲食店に限らず物販、アクティビティ、ホテル、スーパー等、あらゆる分野の加盟店をカバーしているのが特徴です。
こちらについては、後ほど更に詳しく説明します。
代表的な海外の決済アプリを紹介!
Alipay+
Alipay(アリペイ/支付宝)は、中国だけでなくアジア各国に、2019年6月時点で10億人以上の本人認証済みアクティブユーザーを抱える、世界最大の第三者決済です。現時点で中国の消費者に最も親しまれていると言えるモバイルペイメントアプリであり、中国からのインバウンド客の獲得はもちろん、中国向けの越境ECに欠かせない決済手段です。
また、Alipay+(アリペイプラス)とは、中国以外のアジア各国で利用されているモバイルペイメントを、複数まとめて提供しているプラットフォームです。香港、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアといった国々をカバーしています。
WeChat Pay
WeChat Payは、中国で10億人以上が使うNo.1シェアのメッセンジャーアプリ「WeChat」に備わったQRペイメントサービスです。Alipayと中国国内のシェアを二分しており、近年では新サービス「ミニプログラム」との連携でますます勢いを見せています。
また、WeChatのサービスはメッセンジャーだけでなく、タイムライン形式のSNS、友人への請求や送金、タクシー配車、電車や映画のチケット手配、アプリ内モールでの買い物などができます。その利便性から、中国の主要都市を中心に幅広い年齢層の利用者がいます。
JKOPAY
JKOPAY(街口・JKO)は、「街口電子支付股份有限公司」が提供する台湾No.1のスマホQR決済サービスです。
台湾は、訪日外客数で第3位にランクイン(2019)しており、また親日であることで知られています。そのため、コロナ後の訪日にも非常に待が持てます。
JKOPAYは台湾外での加盟店獲得へ積極的であり、日本国内での利用可能店舗も増えてきています。
海外アプリのPR実例:Alipayのマーケティング施策で集客を実現!
Alipayはキャンペーンが豊富
数ある海外モバイル決済ブランドの中でも、Alipayは日本でのキャンペーンを積極的に展開しています。通年で実施している即時割引特典のほか、中国人にとっての旅行シーズンである春節、国慶節などに合わせて開催される大型のクーポンキャンペーン、「日本限定」などエリアに合わせた割引キャンペーンなど、その内容は多岐にわたります。
加盟店は特別な申請をする必要はなく、ただAlipayを店舗へ導入しているだけでキャンペーンに便乗できるため、中国へのプロモーションにハードルを感じている店舗の方にも適用されるのが、大きなポイントです。
以下は、2020年(コロナ流行前)のAlipay春節キャンペーン事例です。
開催期間:2020/1/10(金)~2020/2/16(日) 計40日間
地域:日本の全加盟店
キャンペーン内容:
キャンペーン期間中、加盟実店舗が掲示しているイベント用QRコードを読み取ると、金額ランダムで紅包(中国のお年玉)=クーポンを取得可能(最大5回)。また、5回取得後にキャンペーン期間中の決済でもっとも高かった決済額と同額のクーポンを抽選で取得可能(最大5000元)
新型コロナウイルスの世界的感染が落ち着き、観光目的での往来が復活したあかつきには、こういったキャンペーンがAlipayだけでなく様々な海外モバイル決済アプリで、大々的に打ち出されるでしょう。その時にキャンペーンへ乗り遅れないよう、早めの導入をおすすめします。
Discove(口碑/Koubei)」で店舗情報掲載
Alipayアプリ内のO2O(Online to Offline)機能「Discover(口碑/Koubei)」は、いわゆる口コミ機能のことを指します。加盟店側が店舗情報をDiscover上に登録しておくことで、口コミ登録のほかクーポンやキャンペーンを実施することができます。
公式の情報より知り合いのレビューを参考にする人が圧倒的に多い中国では、日本以上に口コミが重要視されます。評価の高低はもちろんですが、そもそも口コミが「ある」というだけでもアドバンテージになりうるのです。
Discoverは、そんな中国に10億人のユーザーを抱えるAlipayのO2Oサービスです。飲食店だけでなく、生活に必要なあらゆる事業域の店舗が登録できます。当社でも申込を受け付けていますので、ぜひご活用ください。
まとめ:今こそ、海外の決済アプリで集客の準備を!
海外のモバイル決済サービスを導入することは、ただ利用者の決済手段の間口を広げるというだけでなく、導入していることそのものが一種の宣伝となります。また、決済アプリの中には位置情報やO2Oサービスなどでユーザーに対して近隣の店舗利用を促したり、ユーザーが日本で利用できる割引などのキャンペーンを実施したり、積極的な販促活動に取り組んでいるサービスも存在します。
いつかは必ず帰って来るインバウンド客。その時しっかりユーザーを囲い込めるよう、今から確実な準備を進めていくことを推奨します。